【税務調査】売上のチェックポイントとは?

税務調査では様々な勘定科目が調査対象となりますが、中でも「売上」は最も重要な科目のひとつです。損益計算書(PL)における売上は、企業の業績を左右する根幹の数字であり、調査官も特に注目しています。
今回は、税務調査において「売上」がどのようにチェックされるのか、その主なポイントを3つに分けてご紹介します。
① 売上の除外がないか?
最初に調査官が確認するのは、「本来計上すべき売上が除外されていないか?」という点です。いわゆる“売上除外”です。
これは、実際には取引が行われているにもかかわらず、帳簿や決算書に売上が記載されていないケースを指します。調査官は、以下のような切り口から売上除外の有無を探ってきます。
- 売上に付随する仕入・配送・外注費などの関連取引の整合性
- 商品の出荷記録や在庫の動き
- 売上代金の入金状況(銀行預金の入金と売上計上の対応)
- 現金売上の管理体制
- 代表者の個人預金口座の動き(売上代金が個人口座に入金されていないか)
これらは一見売上と直接関係なさそうに見えて、実は「売上の裏付け情報」として有力な証拠となることがあります。売上除外は“意図的な申告漏れ”として重い指摘につながる可能性があるため、注意が必要です。
② 売上の繰延はないか?
次に確認されるのは、「売上の繰延(翌期への持ち越し)」です。これは、当期中に発生した売上を意図的または誤って翌期の帳簿に計上してしまうケースです。
例えば、商品の出荷日やサービス提供日が当期であるにもかかわらず、請求書の発行日や入金日が翌期であることを理由に、売上計上を遅らせることがあります。
このようなケースでは、調査官は翌期の帳簿(売上台帳や仕訳帳)を確認し、「本来は当期に計上すべき売上が紛れていないか」をチェックします。②の繰延売上は記録が残っていれば比較的見つけやすいため、調査官としても着実に確認してくるポイントです。
③ 売上値引の計上時期は妥当か?
最後に注目されるのが「売上値引」の処理時期です。
取引先との値引き交渉や返品が発生した場合、それに伴う減額処理は「確定した時点」で売上から控除する必要があります。しかし実務上は、事後的にまとまって処理されることもあり、時期のずれが生じることがあります。
税務調査では、このような値引や返品処理が適切なタイミングで行われているかも確認されます。不適切な処理があると、売上の過少計上につながる恐れがあるため、証拠資料(合意書・メール・納品書・返品伝票等)の整備が重要です。
まとめ
売上の調査では、除外・繰延・値引処理の妥当性が3本柱としてチェックされます。とくに売上除外は「不正計上」とされやすく、重加算税の対象となるリスクもあるため、慎重な管理が求められます。
調査官の視点を意識し、売上の裏付けとなる記録や証憑を日頃から整備しておくことが、税務調査でのリスク回避につながります。
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