【実例あり】相続税対策は「制度の組み合わせ」がカギ!

相続税対策と聞くと、まず「節税」や「財産の分散」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、真に効果的な相続対策を講じるには、単一の制度を活用するのではなく、複数の税制を組み合わせて設計する視点が欠かせません。

しかも、相続税だけでなく、贈与税や所得税まで含めて総合的に検討することで、より実効性の高い対策になります。

今回は、実際の相談事例にもとづき、代表的な制度とその組み合わせ方法をご紹介します。


① 贈与税の配偶者控除の活用(最大2,110万円非課税)

婚姻期間が20年以上の夫婦で、自宅を贈与するケースでは、「配偶者控除」によって最大2,110万円まで非課税となります。

  • 対象:居住用不動産またはその購入資金の贈与
  • 控除額:2,000万円(+贈与税の基礎控除110万円)

👉例えば、相続開始前に配偶者へ自宅の名義変更を行っておけば、相続財産から不動産を除外でき、相続税の圧縮につながります。

参考:国税庁HP 贈与税の配偶者控除


② 相続時精算課税制度の検討(2,500万円まで贈与税非課税)

60歳以上の親(または祖父母)が18歳以上の子や孫に贈与する場合に選択できる制度で、累計2,500万円まで贈与税がかかりません(ただし相続時に相続財産として加算されます)。

  • 長期的に見ると、資産の移転を早期に行いたい人向けの制度です。
  • 収益不動産や値上がりが見込まれる株式などの贈与に活用されることが多いです。

③ 暦年贈与の活用(毎年110万円まで非課税)

毎年110万円までの贈与は贈与税がかかりません。たとえば、10年かけて1,100万円を移転することも可能です。

特に、直系尊属(親・祖父母)から18歳以上の子や孫への贈与については、特例税率が適用され、一般よりも贈与税が軽くなります。

👉資産を少しずつ計画的に移転したい場合に有効です。


④ 非課税贈与の活用(目的別の制度を使い分け)

子や孫などへの贈与については、特定目的の支出に対して非課税制度が用意されています。たとえば:

  • 教育資金の一括贈与(最大1,500万円)
  • 結婚・子育て資金の贈与(最大1,000万円)
  • 住宅取得資金の贈与(最大1,000万円 ※条件あり)

これらの制度は、制度の併用や順序により効果が大きく変わります


【まとめ】個別問題に応じた“制度設計”がカギ

相続税対策は、財産の種類・家族構成・ライフプランによってベストな方法が変わります。

大切なのは、

✅ 誰に
✅ いつ
✅ どの制度を使って
✅ どの順序で財産を渡すか

トータルで設計することです。

当事務所では、相続税・贈与税・所得税を総合的に判断し、オーダーメイド型の相続対策をご提案しています。

相続対策をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

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