【歴史に学ぶリーダーの本質】徳川吉宗と「人づくり」の思想

先日、テレビで懐かしの時代劇『暴れん坊将軍』の再放送を目にしました。小さい頃から親しんできたこの番組は、今見てもなお胸を打つものがあります。主人公は、徳川幕府中興の祖とも言われる徳川吉宗。享保の改革で知られる名君です。
そんな吉宗の言葉に、強く心を動かされました。
「人間、困ったときにうつむく奴は役に立たない」
吉宗は、困難に直面したときこそ、天を仰いで大きく息を吐けるような、そんな胆力と度量のある人物が世を支えるのだと説きました。単なる理屈ではなく、己の精神を律し、背筋を伸ばすことこそが大切だという教えです。
吉宗が目指したのは「国づくり」ではなく「人づくり」
吉宗が最も力を注いだのは、何よりも「人づくり」だと言われています。
- 人物の養成
- 道徳の振興
- 風俗の矯正
この3つを通じて、国の基盤を作り上げようとしたのです。経済政策や法整備ももちろん大切ですが、根本には「人間の在り方」を重視する姿勢がありました。
『貞観政要』に学ぶ
吉宗が尊んだ書物に『貞観政要(じょうがんせいよう)』があります。これは、中国唐王朝の名君・太宗李世民とその側近たちによる政治対話をまとめた、東洋政治学の金字塔とも言える書です。
この書は日本でも古くから読まれ、源頼朝が愛読したと言われ、妻・北条政子がかな交じり文に訳して、大名たちに読ませたという逸話も残ります。まさにリーダーの心得を説いた書であり、徳川吉宗もここから政治の原理原則を学びました。
太宗は、少年の頃から優秀な人材を見抜き、政治の場で育て、結果として300年にわたる王朝を築きました。その思想は、「精神こそがすべての土台である」という吉宗の考えにも通じています。
現代に生きる教訓
歴史を学ぶ意義は、昔の人間の行動や言葉から、今の私たちが何を学ぶかにあります。吉宗の「まずは精神を整えよ」「人を育てよ」という思想は、現代のビジネスや政治、教育の現場にも深く通じます。
不安定な時代だからこそ、うつむかず、天を仰ぐ気概を持つこと。そして、人を育て、精神を鍛え、社会に貢献できる人物になること。
時代は変わっても、求められる「人間力」の本質は変わりません。
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