【相続関連⑤】個人事業主が亡くなったら相続はどうなる?

こんにちは、後藤です。
今回は、「個人で事業をしていた方が亡くなった場合の相続」についてお話しします。
自営業の方やフリーランス、小さな商店の店主など、法人化せずに個人でビジネスをしていた方が亡くなったとき、相続では何に気をつければいいのでしょうか?
実は、個人事業主の相続は「家庭」と「仕事」が一体化しているぶん、整理がとても難しいケースが多いのです。
■ すべて「個人の財産」として相続の対象に
会社(法人)を経営していた場合と異なり、
個人事業の場合、事業で使っていたものはすべて「個人の所有物」として扱われます。
つまり…
事業用の資産 | すべて相続財産になります |
---|---|
店舗・工場・事務所(個人名義) | → 不動産として相続対象 |
商品・在庫・備品 | → 動産として評価対象 |
売掛金・未収入金 | → 相続税の課税対象に |
事業用口座の残高 | → 預金として相続財産に |
また、事業に関する**借入金や買掛金も「マイナスの財産」**として引き継ぐ必要があります。
■ 相続人がそのまま事業を引き継げるとは限らない
たとえば「長男がそのままお店を続けます」といったケースでも注意が必要です。
事業に使っていた資産を引き継ぐには、以下の点をクリアしなければなりません:
- 他の相続人の同意(遺産分割協議)が必要
- 不動産の名義変更や営業許可の再取得が必要
- 引き継ぎ時の評価によって相続税が発生する可能性もあり
☑「そのまま続けるつもりだったのに、資産が相続税の対象になるなんて…」という声も多く聞かれます。
■ 廃業する場合は、確定申告(準確定申告)が必要です
事業主が亡くなると、その時点で事業は終了となります。
そのため、**亡くなった方の最期の確定申告(準確定申告)**を行う必要があります。
これは、相続人が代わって行う手続きで、原則として4ヶ月以内に提出しなければなりません。
準確定申告では、
- 売上や経費を亡くなった日までで集計
- 青色申告や減価償却も通常通り行う
- 必要なら消費税や事業税の申告も
など、通常の確定申告と同様の対応が求められます。
■ 「事業の承継」も「廃業」も準備が重要
事業主が亡くなった場合、
- 誰が資産を引き継ぐのか
- 誰が事業を継ぐのか
- 廃業するなら、税務処理はどうするか
これらを何の準備もなく突然考えるのは、非常に大きな負担になります。
だからこそ、生前から
- 遺言書の作成
- 引継資産のリストアップ
- 相続税シミュレーション
など、早めの備えがとても大切なのです。
■ まとめ:個人事業主の相続には専門知識が不可欠です
個人事業主の相続は、
✔ 家族の生活
✔ 仕事の継続
✔ 税務の処理
これらがすべて絡み合うため、専門家のサポートが不可欠です。
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