【相続関連⑥】生前に贈与された財産も相続税の対象になる?

こんにちは。
税理士、後藤です。
今回は、相続相談で非常によく聞かれる質問を取り上げます。
「生前にお金をもらっていたけど、相続税には関係ないですよね?」
結論から申し上げると、実は関係あります。
生前に贈与された財産でも、一定の条件に当てはまると相続税の課税対象になる可能性があるのです。
今日はこの「相続開始前3年以内の贈与」を中心に、誤解されがちなポイントをわかりやすく解説します。
■ 相続開始前3年以内の贈与は、相続税の課税対象に!
被相続人(亡くなった方)が、亡くなる前3年以内に相続人へ贈与した財産は、たとえ贈与契約が成立していても、相続財産として加算されるルールになっています。
これを「加算対象贈与財産」といいます。
◆ たとえば…
・2022年に父から500万円をもらった
・2025年に父が亡くなった
→ 3年以内のため、この500万円は相続財産に加算されます
つまり、「もうもらって使ったから関係ない」とはならないのです。
■ 対象になるのは「相続人への贈与」に限る
ここで注意したいのは、加算の対象になるのは原則として「相続人に対する贈与」という点です。
✅ 相続人への贈与 → 加算対象
❌ 相続人以外への贈与(たとえば孫など) → 原則として加算対象外
ただし、相続時精算課税制度を利用していたり、贈与税の申告がされていなかった場合など、個別判断が必要になるケースもあります。
■ 相続税の申告漏れで多いのが、この「加算対象贈与」
相続税の調査でよく指摘されるのが、
「亡くなる直前に、毎年100万円ずつ子に贈与していた」
「その贈与を申告していなかった」
といったケースです。
税務署は、通帳の動きや現金の流れをチェックしています。
「名義は子どもでも、中身は親の資金」だと見なされれば、それも相続財産としてカウントされます。
■ 「贈与したつもり」が一番危険。形式も重要!
贈与が有効と認められるには、以下の条件が必要です:
- 贈与契約書がある(または意思表示の記録)
- 実際に贈与した金額を移動している
- 受贈者本人が管理・認識している
→ たとえば「親が勝手に子ども名義で通帳を作り、お金を移していた」だけでは、形式上は親の財産のままと見なされることがあります。
■ まとめ:贈与は“相続とセットで”考える時代です
「生前に贈与していれば相続税はかからない」
この考え方は、一部正しくて一部危険です。
✔ 亡くなる3年以内の贈与
✔ 相続人への定期的な贈与
✔ 申告していない名義預金
これらは、相続税の加算対象となる可能性があるため、事前の整理と記録が非常に重要になります。
■ 後藤綜合経営事務所のサポート内容
当事務所では、相続税だけでなく、
✅ 贈与税の申告
✅ 加算対象贈与の判定
✅ 名義財産の整理
✅ 遺言書・贈与設計のサポート
など、事前対策〜申告までワンストップで対応しています。
📞「生前贈与したけど、相続税の対象になる?」
📞「名義預金ってどう判断するの?」
📞「相続対策として贈与をしたいが、不安がある」
そんなときは、お気軽にご相談ください。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。