【節税対策】「決算賞与」とは?

決算が近づくと、利益の着地見込みを確認しながら、「今年は思ったより利益が出そうだ」という場面に直面することがあります。
そんなときに有効な節税対策のひとつが「決算賞与」です。
■ 決算賞与とは?
決算賞与とは、決算時点で多額の利益が出る場合に、使用人(=従業員)に対して臨時で支給するボーナスのことを言います。
通常の夏・冬の賞与とは異なり、会社の業績に応じて柔軟に支給されるのが特徴です。
そして最大のメリットは、決算期末までに支給することで、その期の経費(損金)として計上できるという点です。
ただし、以下の要件を満たすことで、決算期末時点で未払いでも、損金算入が可能となります。
■ 損金算入の3つの要件(法人税基本通達9-2-42)
- 決算日までに支給額を受給者全員に通知していること
→「誰に、いくら支払うのか」が明確にされている必要があります。 - 決算日後1か月以内に、実際に支給していること
→通知だけでなく、速やかに現金で支給する必要があります。 - 決算時に未払経費として損金経理されていること
→帳簿上、未払金として処理していることが求められます。
この3つの要件をすべて満たしていれば、未払いであっても損金算入が可能です。
■ 注意点:役員には適用不可(原則)
原則として、役員に対しての決算賞与は損金算入できません。
ただし、使用人兼務役員の場合、その「使用人部分の職務に対する賞与」であり、上記3要件を満たせば損金算入が可能です。
使用人兼務役員とは、たとえば工場長や営業部長として実務に従事している役員などが該当します。判断には慎重さが求められるため、税理士への相談をおすすめします。
■ 決算賞与の主な効果
- 節税効果
→賞与分を損金にできるため、法人税等の負担を軽減できます。 - 従業員のモチベーションアップ
→業績に応じた報酬を支給することで、会社への貢献意識が高まります。
■ まとめ
決算賞与は、単なる節税対策にとどまらず、社員との信頼関係の構築や業績への貢献を可視化する有効な手段です。
ただし、通知のタイミングや支給日、帳簿処理など、形式的な要件をきちんと整えることが大前提となります。
「今年の利益が多そうだ」と感じたら、ぜひ一度、決算賞与の活用を検討してみてください。
実行にあたっては、必ず専門家(税理士)に相談しながら、正確に処理しましょう。
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