【M&A実務の最重要指標】なぜ「EBITDA」が価格算定で使われるのか?

M&Aの現場で最も頻繁に登場する財務指標をご存じでしょうか?
それは、**PER(株価収益率)でもFCF(フリーキャッシュフロー)**でもなく――
実は、EBITDA(イービットダー)です。
私自身も事業会社の評価を依頼された際、まず最初に確認するのはこの数値です。
今回は、M&Aにおける「EBITDA」の重要性とその理由について、実務家目線で解説します。
EBITDAとは?――営業利益+償却費という「実力値」
EBITDAは、ざっくり言えば、
営業利益 + 減価償却費 で算出される指標です。
正式には “Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization” の略で、
「利払い・税金・減価償却を差し引く前の利益」を意味します。
この指標は、企業が本業からどれだけ安定的にキャッシュを生み出すかを表す「実力ベースのキャッシュ創出力」として、非常に重宝されています。
なぜ営業キャッシュフローでもなく、FCFでもないのか?
それは、次の2つの理由が挙げられます。
① 計算が簡便で、比較がしやすい
営業キャッシュフローやフリーキャッシュフロー(FCF)は理論的には優れた指標ですが、
設備投資や運転資本の変動が大きく、算出が複雑になりがちです。
一方、EBITDAは損益計算書から 「営業利益+減価償却費」 でシンプルに算出可能。
企業間比較や年次比較においてブレが少ないという大きな利点があります。
② 減価償却の影響を除外できる
減価償却は会計上の費用であって、実際のキャッシュ流出を伴わない項目です。
これを除外することで、設備投資の多少に左右されない「事業の実力」を把握できるのです。
M&A価格算定におけるEBITDAの役割
M&Aでは、**「その会社が将来どれだけのキャッシュを生むか」**が買収価格を左右します。
EBITDAはその基礎的な目安となるため、**EV/EBITDA倍率(企業価値倍率)**などの形で使われます。
たとえば、同業他社のEV/EBITDAが6倍なら、対象企業のEBITDAが2億円であれば、
企業価値(EV)はおおよそ 12億円 というイメージで価格が見えてくるのです。
まとめ:EBITDAは「最初に見るべき」指標
M&Aに限らず、企業価値評価においてEBITDAは今やスタンダードな評価軸です。
特に中小企業の簡易的な評価では、手軽かつ信頼性の高い基準として重宝されます。
私自身も、M&A支援のご相談を受けた際は、まずEBITDAからチェックを開始します。
それだけ、この指標は**企業の根源的な価値を測る「物差し」**として優れているのです。
▶ あなたの会社のEBITDAはどれくらいですか?
簡易的なM&A評価や価格感を知りたい方は、まずEBITDAを算出してみてください。
当事務所では、EBITDAをベースにした事業価値簡易評価のご相談も承っています。
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