企業価値評価の基本③

ネネットアセットアプローチってなに?
会社を売るとき、「この会社はいくらの価値があるのか?」を考える必要があります。
その評価方法にはいくつかありますが、今回はとてもシンプルで現実的な方法、
**「ネットアセットアプローチ」**をご紹介します。
これは、会社が今持っている“財産”から価値を決める方法です。
「将来いくら稼げるか?」ではなく、「今、どれだけの資産があるか?」に注目します。
ネットアセットアプローチはこんな方法です
たとえば、あなたが小さな商店を持っているとします。
- お店には現金が100万円あります
- 商品の在庫が200万円分あります
- 店舗や車などの設備が300万円分あります
- 一方で、借金が250万円あります
この場合、
(100+200+300)- 250 = 350万円
これがあなたのお店の「純資産=価値」だと考えるのが、この方法です。
つまり、
「持っているもの」から「借金」を引いて、残った分が会社の価値になる。
という、とてもわかりやすい考え方です。
より正確に評価するには
実際の会社では、「持っているもの」が帳簿に書いてある値段(昔の購入価格など)と、今の本当の価値(=時価)が違うこともよくあります。
たとえば、
- 10年前に買った土地が、今は2倍の価値になっている
- 壊れかけた機械は、帳簿には100万円と書いてあるけど、今は売っても10万円にしかならない
こういったケースでは、本当の価値(時価)に直して計算します。
これを「時価純資産法」と呼びますが、難しく考えなくても大丈夫。
要するに、「いま現在、その資産が本当にいくらの価値があるか?」をできるだけ反映させようということです。
メリットとデメリット
◎この方法のいいところ
- 数字がハッキリしていて、わかりやすいし、客観的
- 設立したばかりの会社や、赤字の会社でも評価しやすい
- 財産がたくさんある会社(不動産会社など)に向いている
△注意が必要な点
- その会社が今後いくら稼げそうか?という将来性は評価できない
- ブランド力や、優秀な社員など、見えない価値は評価に入りづらい
- 時価を調べるには手間と知識が必要
実際の現場ではこう使います
たとえば、「この会社、財産はしっかりしてるけど、そんなに利益は出ていないなあ…」というとき。
→ ネットアセットアプローチで価値を出すのがぴったりです。
また、「のれん」と呼ばれる“会社の目に見えない価値”(たとえばブランドや信頼)を別に足し合わせて、
「純資産+将来の利益3〜5年分」=会社の値段とするケースもよくあります。
まとめ:持ち物をもとに会社の価値を出すのがこの方法!
ネットアセットアプローチは、
「会社がいま持っている財産」と「借金の差額」=価値
という、直感的にとてもわかりやすい方法です。
特に、
- 設立間もない会社
- 不動産や在庫などを多く持つ会社
- 今後の利益が読みづらい会社
などの評価にはとても向いています。
次回は、3つの評価方法をまとめて比較!
これまでお話ししてきた
- 将来の利益をもとにする「インカム・アプローチ」
- 他の会社と比べて価値を決める「マーケット・アプローチ」
- 今ある財産から評価する「ネットアセット・アプローチ」
この3つをわかりやすく比べて整理するブログをお届けします!
「結局、どれがうちの会社に合っているのか?」を一緒に考えてみましょう。
どうぞお楽しみに!
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