個人事業主 VS 法人 ~法人成の検討ポイントとは?~

「個人事業主として頑張ってきたけれど、そろそろ法人化を検討した方がいいのだろうか?」
これは多くの事業者が直面する悩みです。実際、節税や資金管理の観点から「法人成り」は有効な選択肢となるケースが増えています。
今回は、個人事業主と法人の違いを整理しながら、法人化のメリット・デメリットについて解説いたします。
◆個人事業主の税金は「累進課税」でどんどん重くなる!
個人事業主の所得税は「超過累進税率」で課税されます。最高税率は45%。住民税を合わせると最大で55%の負担になります。
つまり、稼げば稼ぐほど税金のインパクトが大きくなるのが個人事業の特徴です。
もちろん、小規模企業共済や倒産防止共済などの節税策もありますが、節税できる金額には限界があります。
◆法人成の主なメリット
個人事業主では手が届かなかった節税や資金計画が、法人化によって可能になります。代表的なメリットは以下のとおりです。
① 自分や家計の税金が下がる
給与所得控除が適用されるため、役員報酬として受け取ることで所得税が軽減されます。また、家族への給与分散によって、世帯全体の税負担を軽くできます。
② 赤字を最大10年繰越できる
個人は3年間の赤字繰越ですが、法人では10年間繰越可能。将来的に黒字化した場合、大きな節税効果になります。
③ 消費税が免除される(2年間)
資本金1,000万円未満の法人を新設した場合、最初の2年間は原則消費税免除になります(インボイス対応は要注意)。
④ 経費計上の幅が広がる
家賃、車両、出張手当、生命保険、退職金など、法人化することで経費にできる範囲が拡大します。とくに役員社宅や旅費規程による出張手当は実務上よく使われる節税ポイントです。
◆法人化のデメリット
一方で、法人化すればすべてが良くなるというわけではありません。以下のような負担も増加します。
① 設立費用
株式会社設立には20万円前後のコストがかかります(登記費用・定款認証など)。
② 事務負担が増える
法人決算、源泉徴収、年末調整、社会保険の加入・納付など、事務処理が複雑化します。
③ 社会保険加入義務
法人の代表者(=役員)は原則として社会保険に強制加入となり、保険料負担が増加します。
④ 資金の自由度が下がる
個人事業と異なり、法人の資金は「会社のお金」。自由に使うことができません(私的流用はNGです)。
◆法人成の判断基準は?
「いくら稼いだら法人化すべきか?」という質問をよく受けます。
明確な線引きはありませんが、一つの目安としては「課税所得900万円以上」と思料します。とはいえ、家族構成、経費の内容、消費税の状況などにより最適解は異なります。
◆まとめ|検討すべきは「数字」だけでなく「目的」
法人化の判断には、「税率」だけでなく、「どんな経営をしていきたいか」という将来像も重要です。資金調達や採用、事業承継などの観点でも法人の方が有利になることがあります。
個人事業主として頑張ってきた方こそ、次のステージとして法人化を一度検討してみてはいかがでしょうか?
気になる方は、お気軽にご相談ください。
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