出張の多い企業が見落としがちな「仕入税額控除」のポイントとは?

インボイス制度の導入からしばらくが経ちましたが、現場ではまだまだ戸惑いの声が多く聞かれます。
特に、出張が多い企業様からよくご相談いただくのが「日当とインボイスの関係」についてです。
■ 出張の多い企業における「日当」の活用
実務では、旅費規程を策定したうえで、出張時に社員へ「日当」を支給している会社が多く見られます。
この「日当」は、支給を受けた社員側では給与課税されず、支給する法人側では損金(費用)処理が可能なため、非常に合理的な制度設計です。
さらに注目したいのは、日当が消費税の仕入税額控除の対象になるという点です。
■ インボイスがなくても仕入税額控除できる?
ここで、よくあるご質問があります。
「社員はインボイス発行事業者ではありません。
その社員に支給した日当は、仕入税額控除の対象になるのでしょうか?」
答えは**YES(対象になる)**です。
■ 国税庁の公式見解:「インボイスなしでも帳簿保存でOK」
国税庁が公表している『インボイス制度Q&A』(問107)では、以下のように明記されています。
社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、
その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、
課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとされ、帳簿保存のみで仕入税額控除が可能です。
つまり、インボイス(適格請求書)がなくても、一定の帳簿記載があれば消費税の控除対象となるのです。
▶ 出典:国税庁インボイスQ&A(問107)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/107.pdf
■ 実務対応のポイント
- 旅費規程を整備しておくこと
- 日当支給の根拠となる帳簿(出張命令書、旅費精算書など)を保存すること
- 出張の内容や日数が「通常必要と認められる範囲」であること
この3点を押さえておけば、インボイスがなくても日当について仕入税額控除を受けることが可能です。
■ ご不明点は専門家へ
インボイス制度はまだ始まったばかりで、今後も実務上の悩みは続くと考えられます。
弊所では、旅費規程の整備から消費税の実務運用、帳簿対応までサポート可能です。
「この日当、控除できるの?」
「帳簿って何を残せばいいの?」
そんな疑問がありましたら、お気軽に【後藤綜合経営事務所】までご相談ください。
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