忙中有閑――本物の「閑」とは何か?

皆さんは「忙中有閑(ぼうちゅうゆうかん)」という言葉をご存じでしょうか?

この言葉は、私の好きな思想家・安岡正篤氏の著作に出てくる「六中観」の中に登場します。「六中観」とは、人生を豊かに生きるための六つの心がけを説いた教えで、その中でも私が特に好きなのがこの「忙中有閑」です。

忙しさの中にこそ「閑」を持て

「忙中有閑」とは、文字通り「忙しい中にも閑(ひま)を持つ」という意味です。
ここで言う「閑」とは、単に時間的な余裕のことではなく、心の余裕のことを指します。

現代社会は、あまりにもスピードが速すぎます。
技術の進化、情報の洪水、そして絶え間ない変化の波——
私たちは毎日、目まぐるしい業務に追われています。

特に私たちのような知的労働に従事する者にとって、学生時代に学んだ知識などはすぐに陳腐化し、学び直しが常に求められる時代でもあります。

そんな中、「忙しいから余裕なんてない」と思ってしまいがちです。
しかし、安岡先生はこう言います。

忙しいときの「閑」こそ、本物の閑である。

つまり、「暇になったら心を整える」のではなく、忙しいからこそ、自ら閑を見出し、心を静めることが大切だというのです。

忙しさはミスと悪循環を生む

実際に、忙しさに飲み込まれていると、どうなるでしょうか?

・些細な確認を怠り、ミスが生まれる
・人とのコミュニケーションが乱暴になり、職場の雰囲気が悪くなる
・そして、その悪い雰囲気がまた新たなミスを生む

まさに負のスパイラルです。
だからこそ、「閑」を持つことが大切なのです。

たとえば…

  • 朝一番に、数分でもいいから机の上を整える
  • コーヒーを飲みながら、意識的に深呼吸をする
  • 忙しいスケジュールの中に、5分だけ「考える時間」を入れる

そんな「わずかな心の余白」が、大きな違いを生むことがあります。

本物の「閑」を日常に

私も日々、多忙の中でつい心を亡くしそうになることがあります。
そんなときは、この言葉を思い出します。

「忙中有閑」

忙しさの中にこそ、自分の心を整える静寂な時間を見つける。
それこそが、人生を豊かにし、仕事にも良い成果をもたらす「本物の閑」なのだと思います。

皆さんもぜひ、「忙しいからこそ閑を持つ」という心がけを、日常に取り入れてみてください。

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