愛用の時計が損傷-修繕費と資産計上の境界線

先日、長年愛用してきた腕時計が突然止まりました。
黒の文字盤に黒革のバンド。シンプルながらも重厚感があり、見るたびに気が引き締まるような、私にとっては特別な一本です。
この時計は、私が官民ファンドで働いていた頃からの相棒で、もう10年近くになります。
もっと高価な時計も世の中にはありますが、この時計には思い出と時間が染み込んでいます。ビジネスの大切な局面では、いつもこの時計と一緒でした。
壊れたときはさすがに焦りましたが、実は昨年オーバーホールに出していたばかりだったので、今回の修理は無償対応。
「信頼して預けてよかった」と思える出来事でしたし、この時計をこれからも大切に使い続けたいという想いが、より一層強くなりました。
税理士的に「修理」について考える
この出来事をきっかけに、今日は修繕費と資産計上の違いについて考えてみます。
これは税務の現場でも頻繁に登場するテーマです。
たとえば、建物の一部を改修したときや設備を交換したとき、「これは修繕費として経費にできるのか?それとも資産計上して減価償却するのか?」といった判断に悩むことがあります。
修繕費か?資産か?シンプルな考え方
私の中では、次のようなイメージで整理しています。
- 従前の機能に戻すための支出 → 修繕費
- 従前以上の機能や性能になる支出 → 資産計上
今回の時計の修理も、壊れた部分を元の状態に戻すだけだったため、たとえばこれが事業用の資産であれば「修繕費」として処理するのが基本的な考え方になります。
ただし、仮に内部機構をより高精度なものに入れ替えたり、新機能を付加するようなケースであれば、その支出は“資産の価値を高めるもの”として資産計上の対象となります。
法律家としての視点を忘れずに
税法は法律です。そして税理士は、その法律を運用する法律家でもあります。
だからこそ、「なんとなく」「前もこうだったから」では済まされません。
国税庁の通達や過去の判例に照らしながら、一件一件を根拠に基づいて判断する姿勢が重要です。
時計の修理という、ある意味ではプライベートな出来事からも、税理士としての原点に立ち返る機会をもらえた気がします。
これからも実務の中で、ひとつひとつの判断に誠実に向き合い、研鑽を積み重ねていきたいと思います。
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