最大のムダは「移動時間」だった──ランチェスター戦略で読み解く、時間の使い方改革

こんにちは、利益改善コンサルタント/税理士の後藤です。
今日は、税理士事務所が日々の業務で見落としがちな「ムダ」について取り上げます。
それはズバリ──移動時間です。
この「移動時間」、使い方を間違えればただの浪費。
しかし、戦略的に活用すれば、大きな差別化ポイントにもなります。
今回は、実際の現場感とともに、**ランチェスター戦略を絡めた“移動時間の活かし方”**についてお話しします。
◆ 税理士事務所にとっての“見えにくいムダ”──それが移動時間
月次監査、決算報告、融資相談、助成金サポート…。
会計事務所は顧問先への訪問が多く、移動が当たり前になっています。
そこで「改めて手帳を見返しました。
- 月に10回以上の訪問
- 1回あたり往復2時間
- 月間で20〜30時間
- 年間で約300時間=12日分が“移動だけ”に消えています
これは決して無視できない“経営課題”です。
◆ ステップ1:まずは「移動時間の見える化」から
まずやったのは移動ログの記録でした。
「どこへ・何の目的で・何分かけて・何をしてきたか」
これを手帳とカレンダーで洗い出して一覧化しました。
すると「本当に行く必要があったのか?」「移動中は何をしていたのか?」といった振り返りができ、改善の余地が見えてきます。
◆ ステップ2:移動を減らせないか?仕組みを見直す
次に、移動の“削減余地”を探しました。
- 同じ方面の顧問先は1日にまとめて訪問
- 訪問頻度を、毎月→隔月→四半期に見直し(チャット・Zoom併用)
中でも有効だったのが、**ZoomやChatworkでの“オンライン月次監査”**の導入です。
「毎月来てもらわなくても大丈夫です」と言ってくださるお客様も、意外に多いものでした。
◆ ステップ3:移動時間を“学びの時間”に変える
どうしても移動しなければならないときもあります。
そのときは「知的生産時間」に変える努力をしています。
私が実践しているのは以下のようなことです。
- PLAUD NOTEで音声メモ・企画アイデアを吹き込む
- 本の要約やポッドキャストを聴く
- 学習動画を見る。
「移動中=スキマ時間」ではなく、
**「移動中=成長時間」**と捉えるだけで、移動が自己投資に変わります。
◆ ランチェスター戦略に学ぶ:まずは“量で攻める”!
ここで視点を変えてみましょう。
ランチェスター戦略をもとに、移動時間を「戦略的資源」として捉えてみます。
▼ ランチェスター第一法則:弱者の戦い方=“量で勝つ”
会計事務所のような中小企業がまず目指すべきは、「圧倒的な接近戦=訪問の量」です。
創業期〜成長初期は、多少の移動効率を犠牲にしてでも、「会いに行くこと」に意味があります。
- 月に20件以上の訪問で、信頼の土台を築く
- フットワークの軽さで、他事務所との差を作る
- 現場での“気づき”や“悩み”を拾い、提案につなげる
つまり、移動=信頼構築の武器になるのです。
◆ 成長期以降は「質の追求」に切り替える
訪問量が積み重なってきたら、次は「第二法則(質の追求)」に切り替えるフェーズです。
- 訪問は濃度を高め、頻度は落とす(関係性の維持が前提)
- オンライン対応・ハイブリッド運用を導入
- 移動時間は“知的時間”としてスケジューリング
こうして、「質×量の最適化」ができてくると、利益率も飛躍的に改善します。
◆ 結論:移動時間は“ムダ”にも“資産”にもなる
会計事務所にとって、移動は避けられないものです。
しかし、それを「ムダな時間」とするか、「成長の時間」とするかは、戦略次第です。
ランチェスター戦略は、まさに中小事務所にこそ活きる武器。
まずは量で攻める→そのうえで質を高めるという段階的な成長こそが、本質です。
あなたの移動時間は、投資になっていますか? それとも、浪費のまま放置されていますか?
ぜひこの機会に、手帳を見返し、戦略を見直してみてください。
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