月次決算はいつまでに作るべきか?~事業再生の現場から見える“スピード経営”の重要性~

事業再生の支援に関与していて、いつも痛感するのが「月次決算(試算表)」の重要性です。
実際、業績不振企業の多くに共通しているのは、「月次決算が遅い」または「そもそも行っていない」という点です。
今回は、「月次決算はいつまでに作るべきか?」という実務的なテーマで整理してみたいと思います。
■ 月次決算がない場合の3つのリスク
月次決算を行わないと、経営判断に大きな遅れが生じます。
弊所では、特に次の3つのリスクがあると考えています。
- 問題点の発見が遅れる
数字を見ない経営は、カーナビのないドライブと同じです。気づいた時には赤字が拡大しているケースも珍しくありません。 - 資金繰りの予測が難しくなる
入出金の見通しを立てるには、損益計算書と貸借対照表の両面からの把握が必要です。月次決算がなければ、融資対応や支払計画が後手に回ります。 - 経営判断のスピードが遅れる
数字が遅れて出るほど、改善の打ち手が遅れます。現場で問題が発生しても、「数字が出てから考えよう」となってしまい、結果的にチャンスを逃すことになります。
■ 理想は「翌月5営業日以内」に完成
では、どのくらいのスピードで月次決算を行うべきでしょうか?
弊所では「翌月5営業日以内」の完成をお勧めしています。
その理由はシンプルです。
5営業日以内に前月の業績を把握できれば、その月に十分リカバリーが可能だからです。
例えば、10月の業績を11月5日までに把握できれば、11月中に対策を講じて軌道修正ができます。
これが20日や25日になってしまうと、すでに月の大半が終わっており、「次の月に対応」となってしまいます。
■ 月次決算が早い会社は、強い
月次決算を5営業日以内に仕上げるには、経理体制の整備や資料の整理ルールが必要です。
しかし、ここを仕組み化できている会社は、例外なく業績が安定しています。
それは、「数字をもとに動く文化」が社内に根づいているからです。
早い月次決算は、
- 経営管理がしっかりしている
- 問題発見と対応が早い
- 社長が安心して意思決定できる
という3つの“経営力”をもたらします。
■ まとめ:スピード経営の第一歩は「月次決算」から
事業再生の現場で感じるのは、「数字のスピード」が会社の明暗を分けるということです。
ぜひ、翌月5営業日以内の月次決算体制を整備し、
“問題を早く見つけ、早く直す”スピード経営を実現してみてください。
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