棚卸資産の取得価額に含める?~検収・選別・配送費用の扱いについて~

ある事業者の方から、こんなご質問をいただきました。
「商品を仕入れる際に、検収・選別を行った後、配送しています。これらにかかる費用は、棚卸資産の取得価額に含めなければいけないのでしょうか?」
今回は、棚卸資産の取得価額に関する実務的なポイントを整理してお伝えします。
■ 結論:3%以内であれば、含めなくてもOK
仕入れに伴って発生する 検収・選別・配送などの費用 については、原則として棚卸資産の取得価額に含めるべきものです。
しかし、その金額が購入対価の概ね3%以内である場合、これらの費用は取得価額に含めないことができます(=費用として処理可能です)。
つまり、少額であれば損金処理が認められるというのが税務上の取り扱いです。
■ 取得価額に含めるべき費用とは?
法人税基本通達(5-1-1)では、棚卸資産の取得価額について以下のように定めています。
「棚卸資産の取得価額には、購入の対価のほか、その資産を販売の用に供するために通常必要と認められるすべての費用を含める。」
これには、たとえば以下のような費用が該当します:
- 購入手数料
- 検収・整理・選別・手入れ
- 社内倉庫や店舗への運送費、荷造り費用
つまり、「仕入れにかかったすべて」が本来は取得価額に入ってくるイメージです。
■ ただし「間接付随費用」が3%以内なら除外可
その一方で、次のような費用は「間接的な付随費用」として、購入対価の概ね3%以内であれば取得価額に含めなくてもよいとされています。
- 購入事務に要した費用
- 検収、整理、選別、手入れ等の費用
- 社内倉庫などへの移送費用、荷造り費用
実務では、「仕入額×3%」を目安として、それ以下の付随費用は損金処理することができます。
■ 今回のケースはどう判断する?
ご質問のケースでは、検収・選別・配送にかかる費用は「購入対価の約2%」とのことでした。
→ この場合は、取得価額に含めずに損金処理してOKという判断になります。
■ 注意点
- この「3%ルール」はあくまで少額の付随費用に限った特例です。
- 金額が大きくなる場合(例:5%以上)は、原則通り取得価額に算入する必要があります。
- 税務調査などでも確認されやすいポイントなので、費用の内訳や計算根拠を明確にしておくことが大切です。
■ まとめ
検収・選別・配送などの付随費用については、3%以内の少額であれば取得価額に含めずに損金処理可という柔軟な扱いが可能です。
ただし、それを超える場合は原則通り、取得価額として棚卸資産に含め、減価償却等の処理を行う必要があります。
気になる方は、ぜひ一度、御社の会計処理が適正かどうか、確認してみてくださいね。
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