税理士の視点から考える「賃上げ」と景気の好循環

税理士は、税の専門家であると同時に、企業経営や国の財政にも密接に関わる立場です。今日は、税の専門家という立場から、「税金」と「政治」の関係、特に昨今の賃上げ要請について考えてみたいと思います。


政府の「賃上げ要請」とは何か?

近年、政府は企業に対し「賃上げ」を強く要請しています。背景には、30年にわたる経済の悪循環から脱却し、上昇スパイラルへ転換したいという強い思惑があります。

ではその鍵となるものは何か?
それは「国民一人ひとりの収入の向上」です。


GDPと個人消費の関係

皆さんは、個人消費がGDPに占める割合をご存知でしょうか?

実は、GDPの約50%〜60%を個人消費が占めています。
つまり、「国民の財布のヒモが緩むかどうか」が、日本経済の命運を握っているといっても過言ではありません。

しかし現状、多くの人が景気回復の実感を持てない。その主因の一つが、賃金の停滞不安定な雇用形態です。


非正規雇用の拡大がもたらすもの

この30年で、日本企業の多くが「正社員から非正規社員へのシフト」を進めてきました。
確かに、これは企業側から見れば「固定費の削減」「利益改善」という意味では合理的な経営判断です。

しかしその裏側で、非正規雇用者の低賃金・不安定な雇用という現実が生まれました。
これは企業の利益改善の「犠牲」となってしまっている構造とも言えます。


利益改善 → 賃上げ → 消費増加 の好循環を

大切なのは、「利益を出したから賃金を上げる」という自然な流れを作ることです。
具体的には、

  • 業績が向上した企業が
  • 非正規社員を正社員に登用し
  • 労働分配率(利益のうち人件費に回す割合)を高め
  • 結果として国民の可処分所得が増え
  • それが個人消費の増加につながる

というサイクルを描くことが理想です。

単に政府が「賃上げせよ」と号令をかけるだけでは、本質的な改革にはつながりません。
税理士としても、顧問先企業が持続的に利益を出せるようサポートしながら、この好循環モデルの実現に貢献していくことが求められていると感じます。


企業を支えるのは「人」

私たちはつい「数値」や「利益」に目を奪われがちですが、企業を支えているのは間違いなく「人」です。
社員が安心して働ける環境を整えることが、結果として企業の持続可能性を高め、日本経済全体の再生につながるのです。

税金の専門家である税理士として、今後も経済の流れと政治の動きを注視しながら、中小企業の現場から日本の再生に貢献していきたいと考えています。

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