経営計画を考える前に――企業理念・ミッション・ビジョンの違いと優先すべきもの

経営計画の策定を支援していると、よく聞かれる質問があります。
「企業理念とかミッションとかビジョンって、どう違うんですか?」「どれが一番大切なんですか?」
今回は、この問いに対する私なりの見解を整理してお伝えしたいと思います。
◆企業理念(ミッション)とは何か?
まず、「企業理念」や「ミッション」は、一般的には「何のためにこの会社が存在するのか?」という“使命”を意味します。ただし、私自身はこのミッションは「自ら作るもの」というより「所与のもの」と捉えています。
たとえば、過去の出来事や出会い、社会課題との接点、あるいは人生の中で心を動かされた体験が元となって、「自分はこれをやるために生まれてきたのかもしれない」と思えるような“使命感”が芽生えることがあります。
これは、机上で考え出すというよりも、日々の実践の中で自然と立ち上がってくるような、ある種“哲学”のようなものではないかと感じています。
だからこそ、私は企業理念やミッションを無理に言語化しようとすることは、あまりお勧めしていません。
◆ビジョンは「自ら描く未来」
一方で、「ビジョン」はまったく性格が異なります。ビジョンは、未来に対する自らの意思であり、方向性の明確な「設計図」です。
「どんな未来を実現したいのか?」
「5年後、10年後、会社はどうなっていたいのか?」
こうした問いに対して、自らの意志で考え抜き、描き上げるのがビジョンです。つまり、ビジョンは「つくるもの」なのです。
経営計画策定を支援する際、私たちが特に重視しているのがこの「ビジョン」です。なぜなら、ビジョンこそが経営の羅針盤となり、共感する仲間や従業員を惹きつける原動力になるからです。
ビジョンには、その人(社長)の生き様や覚悟が反映されます。
「この社長についていきたい」と思わせるかどうかは、未来への熱い想いがあるかどうかで決まると私は考えています。
◆ビジョンのチェックポイント
ビジョンを作成したら、以下の3つの視点で確認してみてください。
- 具体的に実現した状態をイメージできるか?
抽象的すぎると、行動につながりません。目に浮かぶような描写を心がけましょう。 - 従業員と共有できるか?
自分一人ではなく、組織として向かっていく未来である必要があります。 - 全身全霊で取り組むことができるか?
そのビジョンに対して、ワクワクするか?エネルギーが湧くか?魂を燃やせるか?
この3つのチェックをクリアしたビジョンは、きっと強力な経営のエンジンになります。
まとめ:企業理念より、まずはビジョンを
企業理念(ミッション)を無理に言語化するよりも、まずはビジョンを描くこと。
「未来をどうしたいのか?」という問いに真剣に向き合い、自分の言葉で語れるようになれば、経営計画は驚くほどスムーズに形になります。
ぜひ、あなた自身の「ビジョン」を描いてみてください。
それが、未来をつくる第一歩です。
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