銀行が「ぜひ借りてほしい」と言ってくる決算書とは?

「銀行がこぞって『ぜひ当行から借りてほしい』と営業をかけてくる」
そんな企業があります。いったいどんな決算書を作っているのでしょうか?

答えは意外とシンプルです。
それは、銀行が高評価をつける“スコアリング”に強い決算書です。

スコアリングとは?

銀行では融資判断の際、企業の決算書をもとにスコアリング(格付け)を行います。これは定量的に企業の健全性や返済能力を点数化するものです。

このスコアが高ければ、「金利を下げてでも貸したい」となります。
逆にスコアが低ければ、「保証人が必要」「担保が必要」「金利は高め」など、条件が厳しくなります。

では、どうすればこのスコアを高くできるのか?

ポイントは次の2つです。


① 営業利益を高くする

営業利益は本業の実力を示す指標。これが高ければ高いほど、銀行は「この会社は本業が堅調だ」と判断します。

実務上、次のような工夫で営業利益を“正しく”高めることができます:

  • 退職金の計上位置を見直す
     → 販管費ではなく「特別損失」として処理すれば、営業利益が高くなります。
  • 雑収入の中身を精査する
     → 定款の目的に該当する収益なら、雑収入ではなく「売上」として計上可能です。

つまり、見せ方の工夫によって“より正しい経営成績”に近づけることができるのです。


② 自己資本比率を高くする

自己資本比率は、返済能力や財務の健全性を示す代表的な指標です。

利益を内部留保することで自己資本は増えていきます。
そのためには、過度な節税に偏らず、利益をある程度残すことも必要です。


税理士によるアドバイスの質で差が出る

ここが実は一番大切な点です。
税理士の中には、こうした金融機関目線を意識して記帳・決算支援を行う人もいれば、そうでない人もいます。

税金を減らすことだけを目的にするのではなく、企業の未来の選択肢(=資金調達の幅)を広げる決算書を作ることが、本当に価値ある支援です。


決算前に、もう一度見直してみませんか?

「決算は税務署に出すもの」と思っていると、銀行との関係で損をすることがあります。

・営業利益の見せ方
・雑収入の取扱い
・特別損失の活用
・自己資本の強化

こうした観点から、決算書の“表示”や“評価され方”を見直すだけで、金融機関の対応が大きく変わる可能性があります。

決算確定前に、ぜひ一度、専門家に相談してみてください。

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