【消費税の豆知識】外国人旅行者に販売する場合、消費税は免除されるのか?

こんにちは、税理士の後藤です。
先日、富士五湖エリアにある観光地のお土産屋さんから、こんなご質問をいただきました。
「外国からの旅行者にお土産を販売する場合、消費税は免除になるんですか?」
インバウンド需要が高まる中、こうした疑問を持たれる事業者さんも多いかと思います。今回はこのテーマについて、わかりやすく解説します。
◆「輸出物品販売場」って知っていますか?
外国人旅行者(非居住者)に対して消費税を免除して販売するためには、「輸出物品販売場」として税務署長の許可を受けていることが前提条件になります。
簡単にいえば、「ここで買った商品は免税対象ですよ」と国に認められたお店です。
◆免税販売の具体的な手続き
免税で販売する場合、いくつかの要件と手続きがあります。
【1】購入者(非居住者)の提示
- パスポートなどの身分証明書を提示してもらいます。
【2】販売者(=お店側)の対応
- パスポートを確認し、購入者情報を記録します。
- 免税対象商品であること、国外に持ち出す目的であることなどの「説明事項」を購入者に説明します。
- 購入記録情報を、速やかに国税庁に電子的に提供します。
【3】税関での対応
- 非居住者は日本を出国する際、税関にてパスポートを提示し、免税購入した商品の申告を行います。
【4】記録の保存
- 国税庁へ提供した購入情報は、確定申告期限後7年間の保存が必要です。
◆どんな商品が免税対象になるの?
免税対象となるのは、「通常生活の用に供する物品」です。
例えば:
- お菓子や飲み物
- 伝統工芸品
- 衣類や日用品
一方、以下のようなものは免税対象外です:
- 金やプラチナの地金
- 店内で飲食したもの(=テイクアウトではなくイートイン)
- 業務用の物品 など
さらに、購入金額にも条件があります。
- 一般物品:1日1店舗あたり5,000円(税抜)以上
- 消耗品(食品・化粧品など):5,000円以上~50万円以下(税抜)
◆まとめ:制度の活用には「準備」が必要
観光地にある店舗にとって、免税販売制度は販売促進の強力な武器になります。
ただし、利用するためには以下が必要です。
✅ 税務署への事前申請・許可
✅ 適切な事務処理体制の整備(記録保存・説明体制など)
✅ インボイス対応との整合性も要確認
もし、「自店でも導入を検討したい」「申請の方法がよくわからない」とお考えであれば、ぜひ当事務所までご相談ください。
制度を上手に使い、インバウンド対応力を高めていきましょう!
📌【参考資料】
国税庁パンフレット『輸出物品販売場制度の概要』:
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/0021009-040_02.pdf
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