“顧客満足度”について、考えを改めました。

「顧客満足度を上げましょう」
これまで、利益改善のご相談を受けた際、私はよくそうアドバイスしてきました。
「新規集客ばかりに目を向けず、今あるお客様に目を向けましょう。顧客満足度を上げれば、口コミが生まれ、結果的に集客の呼び水になりますよ」と。
この考えは、今でも一部では間違っていないと思っています。
しかし、先日、マーケティングの師匠との対話の中で、ひとつの重大な「思い込み」に気付かされました。
「顧客満足度=利益アップ」ではない
私が見落としていたのは、「顧客満足度を上げること」が、必ずしも「利益アップ」に直結するわけではないという事実です。
顧客満足度を高めようとすると、どうしても「追加の付加価値を提供しよう」という発想になります。
ところが、その追加価値の提供には、時間も人手もコストもかかる。結果的に、採算が合わなくなるケースも少なくありません。
ある弁当屋さんの事例
先日ご相談いただいたお弁当屋さんのお話です。
松・竹・梅の3コースを提供されていたのですが、実は一番売りたいのは「松」でした。理由は、利益率が高いからです。
ところが、「顧客満足度を高めたい」という思いから、どんどん「竹」や「梅」にも手間をかけ、彩りを足し、おかずを増やしていった結果、スタッフの負担が増大。全体のオペレーションが非効率になり、逆に利益が圧迫されてしまったのです。
本当に見るべきは「満足」より「利益構造」
もちろん、顧客満足は大切です。口コミも重要です。
でも、それらは「利益を出す体制」があってこそ、持続的に回していけるもの。
つまり、「顧客満足度を高める=善」という単純な図式から脱却し、
「どうやったら利益を出しながら、自然と満足も高まるか」という視点に立ち返る必要があるのです。
経営改善の本質は、バランスにある
私たちの仕事は、単なる「満足の追求者」ではありません。
持続可能な「利益体質」を構築することが最も重要です。
そのうえで、「無理なく提供できる価値」こそが、お客様にとっても、事業者にとっても、本当の意味での“満足”につながるのだと、改めて実感しました。
今後は、顧客満足度の向上を目的にするのではなく、利益と満足を両立させる設計図づくりを、より重視していきたいと思います。
ご相談はいつでもお気軽にどうぞ。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。