「作りすぎのムダ」をなくすだけで、利益は改善する

企業の利益改善を考えるうえで、もっとも身近で、そして見落とされがちなテーマのひとつが「作りすぎのムダ」です。
このムダに気づき、対策するだけで、劇的に利益が改善することも少なくありません。
では、そもそも「作りすぎのムダ」とは何を指すのでしょうか?
一般的には「売れない商品をたくさん作ってしまうこと」や「食品ロス」などがイメージされますが、実は以下の2つに分類することができます。
① 多く作りすぎるムダ
これは言わずと知れた「在庫過剰」の状態です。
「たくさん作っておけば安心」「注文が来たらすぐに出荷できるように」——こうした考えのもと、大量生産を続けた結果、倉庫には売れ残った商品が山積みに。
やがて在庫は古くなり、価値を失い、最悪の場合は廃棄。これは利益の減少どころか、損失につながります。
② 早く作りすぎるムダ
あまり注目されませんが、実はこの②のムダも非常に重要です。
「いつか売れるだろう」「そのうち使うから」といった理由で、まだ必要でない物を早く作ってしまったり、大量に仕入れてしまったりする行為です。
例えば、製造現場で「この部品はいつか使うから」と1年分をまとめて購入した結果、保管スペースが足りなくなり、別の場所を借りて保管…結果、保管費用や移動工数といった“隠れコスト”が増大します。
在庫は資産ではなく、現金を固定化させる“コスト”だと捉えるべきです。
中小企業こそ「必要な時に必要なだけ」の発想を
特に中小企業の現場では、経験や勘に頼って「多めに作っておこう」「とりあえず持っておこう」といった判断が日常的に行われがちです。
しかし、こうした発想が「作りすぎのムダ」を生み、利益を圧迫しているのです。
重要なのは、必要な物を、必要な時に、必要なだけ生産・調達できる体制を整えること。
これは「トヨタ式生産方式(ジャストインタイム)」の考え方にも通じますが、特別な設備や大きな改革がなくても、中小企業でも取り入れ可能です。
例えば…
- 定期的な在庫の棚卸しと、滞留在庫の可視化
- 過去の販売データに基づく生産・発注計画の見直し
- 小ロット・短納期で対応できる仕組みづくり
など、できるところから着手することが大切です。
まとめ
「作りすぎのムダ」は、
- 多く作りすぎるムダ
- 早く作りすぎるムダ
の2つに整理できます。
これらはどちらも在庫を増やし、スペースや資金を圧迫し、ひいては利益を圧縮する大きな原因となります。
中小企業だからこそ、まずは足元の「作りすぎ」を見直してみましょう。
利益改善の第一歩は、“つくらないこと”かもしれません。
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