適正規模の経営が利益改善を生む

「もっと大きく、もっと拡大を」
そんな成長志向が求められる時代もありましたが、今の時代においては、むしろ“適正規模”への見直しこそが、企業の生き残りと利益改善の鍵を握っています。
収益性を見直す「絞り込み」の力
事業再生の現場では、拡大しすぎた事業構造を見直すことがよくあります。特に収益性の悪い部門や店舗を思い切って切り捨て、限られたリソースを収益性の高い事業に集中させる――この“絞り込み”が再生の第一歩となるのです。
最近、弊所が支援したある多店舗展開のお土産屋さんの事例をご紹介します。
東京などの都市部にも展開していたものの、地方店舗に比べて採算が悪く、結果的に、世界遺産がある観光地の1店舗のみに事業を絞ることに決めました。その後は、「AIDMA(アイドマ)」理論に基づいた導線設計を徹底。店頭ディスプレイ、商品配置、接客トークなど、限られた空間で最大限の効果を出す工夫を重ねた結果、収益性が大きく改善しました。
ものづくり企業の例:工場も“選択と集中”
別の事例として、あるプラスチック製造工場では、以前は多種多様な製品を請け負っていました。しかし、採算の取れないプラモデルなどの受託製造はやめ、自社オリジナル製品に経営資源を集中。その結果、ブランディングも進み、価格競争から脱却することができました。
適正規模×スピード改善=利益向上
弊所では、「納品スピードの改善が利益改善に直結する」という基本思考を大切にしています。そのために、工程と作業を整理・整頓し、「作りすぎのムダ」を徹底的に省きます。
そしてこの改善活動を機能させるためには、まず“何に集中すべきか”を明確にすることが前提です。すなわち、自社のコア事業への“絞り込み”が、利益改善の出発点となるのです。
中小企業こそ「広く浅く」より「狭く深く」
リソースが限られる中小企業だからこそ、「なんでもやる」ではなく、「これだけは誰にも負けない」という一点突破型の戦略が有効です。
“絞り込み”とは、単に事業の縮小ではなく、利益を生み出す構造への転換です。
成長のために、時には「手放す」決断が必要になります。
本当に大切な事業に経営資源を集中し、シンプルで強い組織をつくる――これこそが、適正規模の経営による利益改善の本質です。
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