経営計画と聞くと、「金融機関に提出するもの」「補助金を取るためのもの」といったイメージを持たれる方も少なくありません。確かにそれも一つの用途ではありますが、本来、経営計画とは“経営者自身の羅針盤”であり、経営に本気で取り組むための設計図です。

今回は、私たちが支援している「本気の経営計画」について、その構成と考え方をご紹介します。

---

1. 経営計画はポジショニングから始まる

まず重要なのは、自社の立ち位置＝「ポジショニング」の明確化です。

市場の中で、どこにいるのか、どこを目指すのか。誰のどんな課題を、どのように解決する存在なのか。それを言語化することで、ビジネスの方向性が定まり、他社との違いが見えてきます。

---

2. 経営目標を掲げる

次に設定すべきは、経営目標です。

ここでは、売上や利益、顧客数、地域貢献など、定量・定性の両面から目指す姿を描きます。目標が明確でなければ、組織は迷い、戦略もブレてしまいます。

---

3. ターゲットとその課題・ニーズを明確にする

ビジネスは「誰の、どんな悩みを解決するか」に尽きます。

そのためには、顧客の姿を具体的にイメージし、「その人が困っていること」「何を基準に商品・サービスを選ぶか」を言語化することが不可欠です。

---

4. ビジョンとその達成ステップを描く

経営者の想いを込めたビジョンは、チームを導く灯台のような存在です。

そのビジョンを現実にするために、具体的なステップを段階ごとに整理します。ここが曖昧なままでは、日々の行動に落とし込めず、形骸化してしまいます。

---

5. 市場性・成長性の分析も欠かせない

事業が立ち上がるかどうかは、自社の強みだけでなく、市場の変化にも左右されます。

市場規模、成長性、トレンド、競合の状況などを整理することで、今後のチャンスとリスクが見えてきます。

---

6. 組織体制と連携の仕組みを設計する

経営計画には「誰が何を担うか」「どこを強化すべきか」も明示します。人材配置やパートナー連携、今後の採用方針などを可視化することで、実行力が伴った計画になります。

---

7. ビジネスモデルの明文化・数値化

経営計画の中心は、「どうやって集客し、どうやって利益を生み出すか」を明確にすることです。

収益構造、単価、LTV、集客ルート、成約率、リピート率など、できるだけ数値化して把握・改善できる形にしていきます。

---

8. アクションプランの策定と運用

そして最後に、これらを具体的なアクションプランへと落とし込みます。

「いつ、誰が、何をするか」を明確にし、実行・振り返り・修正というPDCAの仕組みを回せるようにします。

---

経営計画は“作って終わり”ではない

ここが一番重要なポイントです。

経営計画は「提出書類」ではなく、「使い込むためのツール」です。
むしろ、毎日の業務の中で何度も見返し、時に立ち止まり、修正を加えながら、経営の羅針盤としてボロボロになるまで使い込むことが重要なのです。

---

まとめ

経営計画とは、“自分たちの未来を言語化すること”。

作成のプロセスそのものが、自社と真剣に向き合う時間であり、組織に方向性を与える行為です。

もし、まだ経営計画を「義務的な資料」と捉えている方がいれば、一度立ち止まり、「本当に使える経営計画とは何か」を見直してみてはいかがでしょうか。