社員のやる気を引き出す「えこひいき」のススメ

先日、とある経営者の方から「社員の定着率が悪い」というご相談を受けました。

話を伺ってみると、その社長は「社員は平等に扱うべきだ」と考え、誰かを特別扱いすることはしてこなかったそうです。もちろん、その姿勢自体はとても誠実なものです。しかし、ここに落とし穴があることも事実です。

私は日頃、売上アップのご支援をする際に、「上得意客をえこひいきする」ことをお勧めしています。たとえば、飲食店なら常連のお客様にだけ提供する“裏メニュー”を用意する。あるいは、誕生日にはちょっとしたサプライズを用意する――そんな工夫が、ファンを増やすカギになるからです。

これを社員との関係に置き換えてみたらどうでしょうか?

社長は最初、「社員をえこひいきしたら、他の社員が疎外感を覚えて組織がバラバラになってしまうのでは?」と心配されていました。でも、次の話をすると、すぐに納得していただけました。

「えこひいきされた社員は、やる気が出て、もっと成果を出そうとする。それって、チーム全体の雰囲気をよくすることにもつながりませんか?」

そこから話し合いは進み、最終的にはこんなユニークな着地に至りました。

「社員全員を“えこひいき”してしまえばいいのでは?」

つまり、誰か一人だけを特別扱いするのではなく、一人ひとりとしっかり向き合い、それぞれにとっての「特別」を提供していく――そんなマネジメントです。

えこひいきといっても、社長が下手に出たり、ゴマをするということではありません。
大切なのは「関心」と「対話」です。

・日々の悩みに耳を傾ける
・その人の強みや努力をきちんと見て、言葉にして伝える
・会社のビジョンを共有し、納得感を持ってもらう

それが、「この会社で働いていてよかった」と思える環境を作っていくのではないでしょうか。

平等に接することは大事ですが、それは“同じように扱うこと”ではありません。
“それぞれに合った関わり方をする”ことこそが、真の公平なのだと思います。

社員のやる気を引き出す「えこひいき」――
ぜひ、今日から始めてみてはいかがでしょうか。

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