「条文」という原点回帰

条文との付き合いは修行時代から

弊所では、毎年7月に新日本法規の『税法六法』を必ず購入しています。
この習慣は、私が修行させてもらった湊税理士事務所で叩き込まれた「条文の重要性」から始まりました。

税理士試験でも条文の学習は欠かせません。私が通った大原では、理論サブノート(通称:理サブ)を購入し、移動中も常に持ち歩き、暗記に励んでいました。


現場で条文を読む人は少なかった

ところが、最初に就職した会計事務所では、条文を開いて確認している人はほとんどいませんでした。
「条文なんていらない、ハンドブックで足りる」という雰囲気がありました。確かに日常業務であれば、ハンドブックだけでも仕事は回りますし、私も活用しています。

しかし、税法は改正のスピードが他の法律とは段違いです。改正の流れに追いつくには、常に最新の条文に触れ続ける必要があります。


「税理士は法律家である」という教え

湊税理士事務所の所長は、税理士試験の試験委員も務める方でした。
その所長から教わったのは、税理士は法律家であり、社会のインフラとして総合力を高めるべきということ。そして、中小企業の水先案内人(ベストパイロット)になるという理念でした。

この考え方は、今の私の仕事観の土台になっています。良い環境で修行できたことに、今も感謝しています。


デジタル時代だからこそアナログを選ぶ

近年はデジタル化が進み、条文を紙で持ち歩く人はほとんどいません。
それでも私は『税法六法』を購入し、手に取り、ページをめくる習慣を続けています。

アナログ方式は、ただのノスタルジーではありません。
それは、原点に立ち返り、当時の所長に少しでも近づくための、自分なりの修行でもあります。


おわりに

条文を読むことは、実務の効率だけを考えれば遠回りかもしれません。
しかし、その積み重ねが、法律家としての精度と幅を広げ、中小企業の未来を導く力になると信じています。

これからも「条文」という原点を大切に、総合力の底上げを続けていきます。

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