事業承継を成功させる“本当のカギ”とは?

~物ではなく、人を引き継ぐという視点~


■ 事業承継は「モノの引継ぎ」だけでは成功しない

事業承継と聞くと、多くの方が
「株や土地、設備をどうやって引き継ぐか」
という“モノの承継”をまず思い浮かべるかもしれません。

しかし、事業承継を本当の意味で成功させるカギは「人の承継」にあります。


■ 事業承継には2つの側面がある

事業承継には、以下の2つの側面があります:

【1】物的事業承継

→ 自社株式、事業用不動産、設備、運転資金など“経営資源”を引き継ぐこと

【2】人的事業承継

→ 後継者の確定、経営権の移行、幹部チームの再構築、仕事の引継ぎなど“人と組織”の移行


■ 成否を分けるのは「人的事業承継」

実は、この2つのうち、人的事業承継のほうが圧倒的に重要です。

なぜなら、物的資産がどれほど整っていても、
人が育っていなければ、会社はうまく引き継がれないからです。

しかも、準備にかかる時間も大きく異なります。

  • ✅ 物的事業承継:1年~3年が目安
  • ✅ 人的事業承継:5年~10年を要することも

つまり、「人の承継」には時間をかけて、計画的に取り組むことが絶対に必要なのです。


■ 人的事業承継のステップ|3つの柱

では、人的事業承継はどのように進めていけばよいのでしょうか?
後藤綜合経営事務所では、以下の3ステップでの支援を推奨しています。


【ステップ①】後継者の確定

まずは、誰が次期経営者になるのかを明確にすることが第一歩。
親族、社内幹部、第三者…選択肢は様々ですが、
その人物に「経営の覚悟」があるかが重要です。


【ステップ②】次期経営幹部チームの構築

経営者ひとりでは会社は動きません。
後継者を支える“参謀”となる幹部チームづくりも同時に進めます。

  • 部門責任者の見直し
  • 中堅社員の抜擢と育成
  • 信頼関係の構築

経営のバトンを渡すだけでなく、次世代チーム全体の体制移行が必要です。


【ステップ③】承継までの中期計画の策定

最後に、承継までのスケジュールと役割分担を明文化します。
この「事業承継計画」により、新旧経営者双方のすべきことが明確になります。

  • いつ代表権を譲るか
  • いつ株式を移すか
  • 何をどう引き継ぐか
  • 社内・社外への発表タイミング など

この計画があることで、金融機関や取引先からの信頼も高まります。


■ 現経営者が取り組むべき5つの実務

人的事業承継を成功させるためには、現経営者の準備が不可欠です。
特に以下の5つを意識しておくことが大切です。


✅ ① 既存事業の収益力強化

後継者に「強い会社」を引き継ぐことが最大の贈り物です。

✅ ② KPIと事業承継スケジュールの可視化

業績指標や承継時期を明確にすることで、現場の理解と協力が得られます。

✅ ③ 同世代の幹部の“花道づくり”

退任する幹部たちへの配慮も必要です。円満な引退が、次世代の足元を支えます。

✅ ④ ビジョンや理念の明文化

「うちの会社は何のために存在するのか?」を再定義して共有しましょう。

✅ ⑤ 株主構成の整理

分散している株の集約、後継者への移行準備を含めた“資本の整理”も早期に進めましょう。


■ まとめ|人を育てるには「時間」がかかる

事業承継で最も難しいのは「人づくり」です。
だからこそ、今すぐにでも動き出す価値があります。

後藤綜合経営事務所では、
✅ 人的・物的の両面からの総合支援
✅ 事業承継計画の策定支援
✅ 後継者育成プログラムの構築
✅ 社内体制づくりや金融機関対応まで

ワンストップでサポート可能です。
まずは、後継者候補の顔を思い浮かべるところから始めてみてください。

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