事業承継に「いくらかかる?」問題

~退職金から株の買取、税金まで。必要資金を徹底解説~


■ 「事業承継を考えているけど、いくら準備すればいいの?」

最近、このようなご質問をいただく機会が増えています。
確かに、事業承継には多くの場面で“お金”が必要になります。

本記事では、「事業承継において、どこで、誰に、どれくらいの資金が必要か」についてわかりやすく解説します。


■ 事業承継で必要になるお金は、大きく2種類ある

事業承継でお金が必要になるのは、以下の2つの立場です:

  • 会社として必要な資金
  • 後継者個人として必要な資金

それぞれに、発生する場面と種類が異なります。以下、詳しく見ていきましょう。


① 会社として必要な資金

経営者が交代するにあたり、会社側にもさまざまな出費が発生します。


✅ 1. 経営者の退職金

長年にわたり会社に貢献してきた現経営者に対し、退職金を支払うケースが一般的です。
この金額は、数百万円から数千万円規模になることもあります。

💡 退職金は損金算入(経費扱い)ができるため、税務面でも活用される重要な資金計画です。


✅ 2. 自社株式・事業用不動産の買取資金

経営者が保有していた自社株式や事業用資産(建物・土地)を会社で買い取るケースもあります。
特に、第三者承継や社内承継の場合にはこの形が取られやすくなります。


✅ 3. 分散株式の整理費用

創業からの経緯で、株式が親族や旧幹部などに分散しているケースがあります。
承継前にそれらの株式を会社が買い取る or 集約する資金も必要になることがあります。


② 後継者が必要とする資金

後継者自身も、「経営者になるためのお金」が必要になります。
とくに以下のようなケースが想定されます。


✅ 1. 自社株式・不動産の買取資金

現経営者から株式や資産を後継者個人が買い取る形になる場合、数百万円~数億円規模の資金が必要です。


✅ 2. 相続税・贈与税の納税資金

無償で承継する場合でも、相続税・贈与税が発生する可能性があります。
特に自社株式に高額な評価がついている場合、現金納付が困難になるケースもあります。


✅ 3. 分散株式の買取資金

兄弟姉妹などの相続人が保有する株式を、後継者が買い取って整理する場合、代償分割の資金が必要になります。


✅ 4. 役員退職慰労金の肩代わり

場合によっては、他の株主(退任する幹部など)への慰労金や配当的な金銭支払いが発生することもあります。


■ 「そんな大金、自分で用意できない…」という方へ

すべてを自己資金でまかなうのは、現実的には困難です。
そのため、以下のような手段で資金調達を検討することになります。


🔹 金融機関からの融資

日本政策金融公庫や地元金融機関での事業承継向け融資の活用が有効です。

🔹 税制優遇制度の活用(納税猶予制度など)

「非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予制度」など、事業承継支援税制の活用により、納税負担を大きく軽減できる場合があります。


■ まとめ|「お金の話」から目をそらさないことが第一歩

事業承継には、想像以上にお金がかかるものです。
ですが、「何に・どれくらい・いつ必要か」を明確にすれば、対策を講じることは十分可能です。

後藤綜合経営事務所では、
✔ 必要資金のシミュレーション
✔ 株価評価・資産評価
✔ 金融機関との交渉支援
✔ 税制優遇の活用提案
✔ 後継者への資金計画アドバイス など

“お金の不安”に寄り添う事業承継サポートを行っています。
気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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