事業再生において、最も重要なのは「スピード」

最近、事業再生の支援の郷相談が増えてきています。
公的支援機関として関与することもあれば、金融機関との間に立つケースもありますが、税務顧問という立場で関与する際に、絶対に欠かせないものがあります。

それは、「月次決算」です。
もう少し具体的に言えば、月次試算表の作成体制を整えることです。


なぜ月次決算が必要なのか

事業再生の現場では、「今の会社がどのような状態にあるのか」を、リアルタイムで把握する力が問われます。
資金繰りの悪化や売上の減少に対して、どのような対策をいつ講じるか。
その判断を誤れば、1か月の遅れが命取りになります。

だからこそ、「タイムリーな業績管理」が不可欠なのです。
つまり、スピードこそが再生の鍵なのです。


現実的には「完璧よりも迅速」を

とはいえ、実際に月次決算を行うことは簡単ではありません。
請求書・領収書の収集、在庫や未払の整理など、資料の準備に時間がかかることが多いのが実情です。

しかし、ここで大切なのは「完璧さを求めすぎない」という姿勢です。
経営判断に大きな影響を与えない範囲であれば、概算計上や翌月反映といった柔軟な運用も必要です。
たとえば、未払経費を仮計上しても大勢に影響がない場合は、スピードを優先して翌月修正すればよいのです。


月次決算の本質とは

月次決算の本質は「正確さ」ではなく「即時性」にあります。
たとえ誤差があっても、経営の方向性を見誤らないレベルのスピード感を保つことが、再生の第一歩です。

現状を数字で“見える化”することで、初めて再生計画が描けるようになります。
そして、計画ができて初めて、金融機関との対話や従業員への説明に説得力が生まれます。


まとめ

事業再生の現場で、最も重視すべきは「スピード」です。
完璧な数字を待っている間に、手遅れになることもあります。

税務顧問として関与する際は、まず月次決算の仕組みを整えること
そこからすべての打ち手が始まります。

月次決算が整えば、事業再生の道筋は自ずと見えてきます。

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