顧客の声に耳を傾けていますか? 〜現場で見える「接点の力」〜

日々、中小企業の経営支援を行う中で、私は一貫して以下のような問いを自分にも、支援先にも投げかけています。

  • 顧客の声を聴いていますか?
  • お客様の元を訪問していますか?
  • 顧客との接点をどれだけ持っていますか?

これらの問いかけには理由があります。
お客様と実際に接触し、直接コミュニケーションを取ることこそが、ターゲット顧客の“本当の悩み”を知る最良の手段だからです。

今の時代、データやAIを活用した分析がもてはやされていますが、それでもなお、現場の「生の声=ボイス・オブ・カスタマー(VOC)」を聴くことの価値は色褪せることがありません。


一見、真逆の戦略──マツダの例

そんな中で、ある意味“真逆”の方針を掲げている成功企業も存在します。
たとえば自動車メーカーのマツダです。

マツダでは、商品開発において日本的美意識を尊重し、「顧客の声」はあくまで参考情報と捉えています。
彼らが目指すのは、「自分たちの美意識と哲学で顧客を魅了すること」
この思想が、今や世界中で評価される「魂動デザイン」につながっているのです。

こうした姿勢は、確固たるブランド哲学と圧倒的な技術力、そして潤沢なリソースを持つ大企業だからこそ成り立つ戦略といえるでしょう。


中小企業は「現場起点」で考える

一方、中小企業の現実はどうでしょうか。

多くの企業が、

  • 人材不足、
  • 情報不足、
  • 資金不足

という「三重苦」の中で経営判断を下しています。

このような状況下では、「現場での顧客との接点」こそが最大の経営資源です。
直接お客様に会い、話を聴き、困っていること、嬉しかったこと、不満に思ったことを丁寧に拾い上げる。
そこにこそ、次の一手のヒントがあります。


現場にヒントがある

「顧客の声を聴くこと」=「お客様に迎合すること」と誤解されがちですが、そうではありません。
顧客の声を素材として、戦略的に咀嚼し、未来の価値を創り出す。
それが、中小企業に求められる“実践的マーケティング”だと私は考えています。


最後に

マツダのように自らの美意識と哲学で顧客を引っ張る企業もあれば、顧客との対話の中に活路を見出す企業もあります。
いずれにしても大切なのは、「自分たちに合ったやり方」を見極めること。

中小企業においては、顧客とどれだけ接点を持ち、その中から何を学び、どう活かすか。ここが成長のカギです。

あなたは、顧客の声を聴いていますか?

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