商品の基本サイクルとは?~三枝匡氏に学ぶ、事業を強くする「ぐるぐる経営」~

事業再生の名手として知られる三枝匡氏(元ミスミグループ本社社長)は、日本を代表する経営改革の実務家です。その三枝氏が、数々の現場で用いてきたシンプルかつ強力なフレームワークが「商品の基本サイクル」です。
これは、ビジネスの根本を極限まで単純化した考え方であり、
① 創って(企画)
② 作って(製造)
③ 売る(販売)
という、たった3ステップのビジネスフローで構成されています。
この「創って→作って→売る」という一連の流れを、組織全体がストーリーと心を共有しながら、いかに素早く、正確に、繰り返し回せるかが、事業の成否を分けるカギとなるのです。
負け戦になる前に、サイクルを早く回せ!
この基本サイクルは、何か特別な産業や大企業だけのものではありません。
町工場でも、小売店でも、士業でも、すべての商売に通じる「ビジネスの基本動作」です。
ところがこのサイクルをゆっくりとしか回せない、あるいは途中で止まってしまう企業が少なくありません。
商品企画に時間がかかりすぎる、製造ラインが非効率、営業部隊が顧客と向き合えていない──
こうしたズレや遅れが、やがて「負け戦」につながるのです。
三枝氏は、この基本サイクルを高速で回し続けることで、企業は必ず強くなると断言します。
「商品の基本サイクル」とトヨタ生産方式の共通点
三枝氏は、この「商品の基本サイクル」はトヨタ生産方式と本質的に同じ性格を持つと述べています。
例えば、トヨタの代表的手法である「カンバン方式」では、工程間に仕掛品をため込まず、すべての工程がスピードを同期化することで、生産効率を極限まで高めています。
どんなに古い機械でも、スピードをそろえることで「ムダ」がなくなり、在庫も減り、コストが下がる。
これはつまり、創って→作って→売るの一連の動きを、無駄なく・速く・一貫して行うということに他なりません。
サイクルを止めないことが、生き残る鍵
世の中の変化が早くなった今、考えているうちに市場が変わってしまう時代です。
「考えてから動く」では遅い。
「動きながら考える」ためには、基本サイクルを絶えず回し続けることが重要です。
お客様のニーズに耳を傾け、素早く企画し、必要最低限で形にして、すぐに市場に届ける。
この高速サイクルを維持することで、初めて「現場での学び」や「次の商品開発のヒント」も得られます。
最後に
三枝匡氏のいう「商品の基本サイクル」は、単なる業務手順ではありません。
企業のすべての構成員が、ストーリーと心をひとつにして「ぐるぐる回す」営みそのものなのです。
あなたの会社では、このサイクルがきちんと回っていますか?
止まっている部分はありませんか?
今一度、自社のビジネスの“動き”を点検してみてはいかがでしょうか。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。